社長さんの給与は年1回しか変えちゃダメです!
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最終更新日:2014/01/02
税務と会計
法人税引き下げの法案が通るかどうかが話題になっている。
5%下げるらしいです。
大企業のことはよくわかんないけど結構中小零細企業にとってはかなり根本から変わる問題ではと思っています。
純粋に法人税が下がるから、税収が減るという訳ではないのではという思いがあります。
これを話す前に、前提条件!
◆日本の会社の8割以上は赤字
→法人税は払っていない(均等割は払っている)
◆日本の会社の9割以上は中小企業
→その大半がオーナー企業(社長さんが筆頭株主)
※均等割とは、利益に関わらず、会社の規模に応じて一定に支払う税金です。
※資本金1000万以下で従業員50名以下の場合は約7万円ですので、かなり少ないと感じませんでしょうか?
「みんなどこも不景気で大変だなぁ」と思った方は心のきれいな人ですね。
どういう事かというと、会社の利益とは何か?ということがひとつポイントです。
例えば、「利益100万円のA社」と「利益10万円のB社」があります。普通はどっちが儲かっているかというと間違いなくA社と思います。
でも、例えば
A社の社長さんの給与(役員報酬と言います)は年収500万円です。で、B社の社長さんの給与は年収1000万円だとします。
社長さんの給与なんて会社の利益みたいなもんじゃん!って普通思いますよね?
利益っていうのは、人件費(社長の給与も含む)を払ったあとに会社に残ったお金の事です。
そうすると、実質それぞれの会社の利益は
A社→100万(会社)+500万(社長)=600万円
B社→10万(会社)+1000万(社長)=1010万円
ってことでB社の方が実質儲かってるってことになります。
そんなことどっちでも良くない?って思った方、実は違うんです。税金の面で。
社長さんの給与には「所得税」、会社の利益には「法人税」がそれぞれ違う税率でかかります。
つまり税率の低い方をたくさん、税率の高い方を少なくしたほうが収める税金は低くなります。
所得税は累進課税(法人税もあるラインから高くなったりするので累進的な要素もありますが)なので、給与を上げ過ぎて損するなど、バランスがあったります。
このように、合法的に税金を安くすることを節税って言ったりします。
節税には他にもいろいろな方法がありますが、この社長さんの給与を税金的にお得なラインにすることは比較的メジャーな節税の方法の一つです。
じゃあ具体的にどれくらいにすれば良いのか?って事ですが、ある程度の規模までは、会社の利益はゼロになるように社長の給与を設定するのが良いと言われていました。
日本は法人税がかなり高いと言われています。よく「半分ぐらい取られる」なんて言われたりします。所得税が40とか50%になるなんて相当の高給取りですからね。
つまり前提条件の一つ目日本の会社の8割以上は赤字ってのは、なんとなく納得出来ません?
じゃなきゃ毎年赤字と垂れ流してたらすぐ潰れちゃいそうなもんですが、なかなか潰れないのにはそういったからくりがあるんですね。
で、ひとつ問題!社長の給与は当然社長なんだから自分で決めるよね?って思ったら大間違い。社長の給与は実は株主たちが決めます。
儲かって無いくせに社長が高給取りなんて俺ら株主は納得できないぞ!ってな感じで文句が言えます。
で、二つ目の前提条件
◆日本の会社の9割以上は中小企業
→その大半がオーナー企業(社長さんが筆頭株主)
つまり、社長さん=株主→社長が自分で自分の給与を決められるんです。
なんか笑っちゃうでしょ?
で、前置きがかなり長くなりましたが、法人税引き下げについて。
もう勘がいい人はわかりますよね?法人税はこれまでにもかなり引き下げられました。
利益800万円までは、30%位から今は18%だったりします。この数字は国税のみなので法人地方税も含めますともっと高いですが、それでもだいぶ低くなりました。
で、法案が通ればさらに下がるんです。
そうすると、今まではある程度の規模までは、会社の利益はゼロになるように社長の給与を設定するのが良いと言われてきましたが、その「ある程度」の割合が間違いなく下がります。
なんか所得税で収めるのか法人税で収めるのかって言葉遊びみたいですけど。
今までも収めていた大企業の法人税額は下がりますので、それが利いて合計額は減るかもしれませんが、中小企業が今まで8割も納めていなかったわけですから、「法人税を1円でも収める会社数」は増えるんじゃないかなって思います。
絶対数として増えるかはわかりませんが、この役員報酬バランスで赤字にしているところで、じゃあ黒字でもいっかってところは増えるでしょう。
だって、税金の事がなければ、自分の会社は黒字のほうがいいに決まってますから。取引先に対しても融資してくれる銀行に対しても。
何が言いたいか?
なんか調整可能なもので、損得(税額が多い事を損とか得とかと言えるかというのはさておき)が分かれるのって馬鹿らしくありません。
これを食い止めるために社長さんの給与(厳密には役員の給与)は年1回しか変更してはダメなんてルールがあったりします。
※厳密には変えてもいいですが、税金面では無視されます。
あきらかにルールの欠陥を食い止めるルールじゃないですかね?
いっそのこと、会社の利益と社長さんの給与を一緒にして、それに一定のルールで税率をかけるのがシンプルじゃないですか?
うちも年に一回利益予想を立てて(それ自体は良いことですけど)社長さんの給与を決めたりしてます。
僕節税に時間や労力を使うのって結構楽しかったりしますし、その手の話嫌いじゃないんです。でも、これって全体としてプラスなんですかね?
自分もそうですが気持ち的に、税金を払うことが「負け」みたいになってくるんです。それってどうなのよ?
もちろん、賢く生きるって大事だと思います。でも、しっかりと働いてしっかりと儲けて税金をシンプルで公平なルールで払うってのが一番気持ち良くないですか?国民も国も。
と言いつつセコセコ節税の勉強している時点で、僕って偽善者ですかね?ちゃんちゃんと。
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